私は国公立医学部に合格するために大学を中退し、実質2浪しました。振り返ってみると、当時は何故こんなことをしていたのかと思うこともありますが、今となってはいい思い出です。今ならYoutubeで受験方法も勉強できますが、当時は●田さんの本くらいしかありませんでした。いい意味でも悪い意味でも一生懸命に考え、行動していたなと思います。
私の人生の中で、一つの目標にひたすら集中して努力した医学部受験はかなりの重要性をもっています。同級生を見ていると、受験程度で本気にならなくても要領よく合格した方が大半でしたが、凡人だからこそ感じることができた感動が医学部受験にはありました。
反面教師にしていただけると幸いです。
目次
高校時代
私は小中高と地元の公立校に通っていました。高校はいわゆる自称進学校でした。
ありがちなことですが、公立中学で優秀と持て囃されたせいで間違った方向に成長した全能感、自己肯定感のせいで自分は東大理IIに入るものと思って疑いませんでした。
幸いな事に努力する才能”だけ”はあったので、勉強量は多かったです。悲しいことにその勉強方法とは、「東大理3でお勧めされている参考書をひたすら取り組む」というものでした。数学なら新数学演習やスタ演、化学は新演習、新研究をずっと眺めていました。分からない事を質問に行ける環境ではなかった(そもそも分からない事が分からない)ため、何も理解することができず、時間だけが無駄に流れていった高校時代でした。
成績は中の下で、一生懸命勉強しているにも関わらず成績は伸びませんでした。理想と現実のギャップに悩んでいた高校時代でした。センター試験は74%で東大は受けられず、絶望的な状況にも関わらず楽天家だったのであまり落ち込んでいませんでした。
受験勉強は積み上げていくものです。数学で例えると、教科書の理解⇨4STEPレベルの基礎問題集⇨青チャートやFocusGoldなど入試標準レベル⇨1対1⇨スタ演⇨新数学演習(個人の感想です)といった階段を3年間(中高一貫なら6年間)かけて少しずつ登っていくのが受験勉強です。東大生が勧めていたのは、今まで積み上げてきたものの上澄みにしかすぎないのに、私はそれをいきなりやろうとしていました。積み上げていかない勉強は何もしていない事と同じです。高校生特に男子は発達が遅いので気づく事が出来なかったのでしょう。
1浪目
現役で志望校の東大を足切りで受けられなかった私は、後期で合格した地方の国立大学理学部に入学しました。
色々思うことがあり半年で退学したのですが、そこからは今までの勉強法が間違っており、基礎が大事と考えるようになりました。1度大学に入って受験勉強から離れたことで、いい意味で広い視野を持つことが出来たのかもしれません(時間とお金を犠牲にして)。
それから私は今まで無駄にした時間を取り戻すかのように基礎を徹底させました。数学と化学は教科書を読み、公式や現象の理解を1からやり直しました。その後は数学は1対1の演習を、化学は重要問題集を理解して全て1から解けるように何度も何度も繰り返しました。解けるようになるまで5回繰り返した問題もありました。もっと間に基礎的な問題集を挟む方が良かったかもしれませんが、私にはこれが合っていたのだと思います。
大学を半年で中退した申し訳なさから、1浪目は家事を手伝うようになりました。朝5時に起きて朝ごはん、家族の弁当を受験直前まで作っていました。「そんなこといいから勉強しろ」とは誰も言ってくれませんでしたし、私も当然と思ってやっていました。この時間を勉強に充てていたらもしかしたら・・・
1浪目から高校時代からずっと苦しめられていた世界史を政治経済に変更しました。昔は倫理をやらなくてもよかったのです。意味不明なカタカタを覚える世界史と違い、日常につながりのある政経は私にとって合っていました。図表をひたすら読み込んでいると、3ヶ月もしないうちにセンター9割くらい取れるようになっていました。相性の重要性を実感するとともに高校生のうちから変えておけばよかったと後悔しました。
基礎問題を半年かけて何度も反復することで、センター8〜9割程度の基礎学力はついたと感じます。その年はセンター84%と微妙に足りない感じでした。地方国立医学部を受験したのですが、まだ標準レベルの問題を高得点取るまでには届かず医学部は落ちてしまいました。中期の薬学部は合格したので、あと1年標準レベルの問題を徹底すれば医学部に合格すると確信していました。
2浪目
基礎の穴埋めと、標準問題の徹底させるために親に頼み込んで大手予備校の医学部コースに入りました。この1年は寮に通わせてもらいました。最後の受験という覚悟で死ぬ気で勉強のみに集中すべきですが、適度に息抜きし、勉強はポイントを押さえてやっていました。
寮生活は気の合う友人ができました。何故か寮の門限がなく、卓球台もありよく皆で卓球大会をしていました。朝7:00に朝食を食べ、予備校に行くというルールを作って1年間1度も破らず続けていました。辛い1年を過ごした友人はとても大切な存在で、今でも連絡を取り合っています。
2浪目は数学の楽しさに目覚め、大学への数学の雑誌を買うようになりました。
夏休みは大学への数学の学力コンテスト(通称学コン)をずっと考えていたら終わってしまいました。
前年の基礎を徹底して行った事が幸いし、順調に成績は医学部レベルまで上昇し、安定していました。とはいえ、センター試験はゲロ吐きそうなくらい緊張していました。センターでは点数がブレる数学は197点が取れ、合計9割得点できました。
センターが9割取れた時点で私の受験は終わったと言えました。第一志望の国立大学は基礎的な問題が多く、センターのアドバンテージもあり無事合格し、3年にわたる私の受験生活が終了しました。
医学部の6年間は最後のモラトリアムと思いたくさん遊んでいました。国家試験は最後の1年で詰め込んでなんとかストレートで医師になれました。
4.最後に
国家試験は覚える事が多くて大変でしたが、大学受験の方が明らかに難しくて緊張しました。大学受験が1番大変なのは間違い無いです。共通テストの真っ最中ですが、最後まで頑張ってください。受験さえ乗り切れば医師になったようなものです、医学部を目指す全ての受験生を応援しています。